今回、長期ビジョンを策定された狙いや背景について教えてください。
丸運グループは、多くのステークホルダーの皆さまのサポートをいただき、この9月に創業130周年を迎えます。1892年の創業以来、創業者金原明善の唱えた「利他自利」の精神を受け継ぎ、大きな環境変化をいくつもくぐり抜けてきたわけですが、足元の経営環境の変化は、これまでにも増して大きなものであると認識しています。デジタル技術の進化を背景とした社会の情報化が飛躍的に進む一方で、地球環境の持続可能性の限界が露呈し、それらがコロナパンデミックにより顕在化しているといえましょう。
こういった状況を勘案し、当社グループの進むべき事業領域について、ここで今一度再点検し、関係会社を含めた当社グループ全体で共有する必要があると考えました。
長期ビジョンの重点ポイントは何ですか。
長期ビジョンのエッセンスは、「2030丸運グループのありたい姿」として3つのキーセンテンスで表現しています。
- ・貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営を継続し、高いコスト競争力と提案営業力を有する物流エキスパート企業となることを目指します。
- ・そのために、国内一般貨物を基盤として、素材の国内外一貫物流を強化すること、今後市場成長が見込まれるリサイクル物流分野、機工分野、食品流通分野および潤滑油化成品等の危険物保管分野への積極的な投資を実行することにより成長を追求します。
- ・また、減少していく石油輸送については、安全を確保しつつ効率化を推進します。
一つ目と三つ目のセンテンスのキーワードは、「貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営」、「エキスパート企業」、「安全」および「効率化」です。「利他自利」の精神を受け継ぎ、社会インフラの維持に貢献する物流プロ集団であり続けたいという当社の変わらない価値観を示しています。
一方、二つ目のセンテンスのキーワードは、「積極的な投資」による「成長の追求」であり、変革の姿勢を表しました。変化の激しい環境の中では、現状維持は退歩であり、新しい分野に果敢に挑戦していく中でしか事業の成長はありません。このセンテンスで掲げた分野は、人口が減少していくわが国の産業状況の中において、成長性が期待できかつ当社のノウハウが活かせる事業領域であり、経営資源を集中していきたいと考えています。
株主や投資家の皆さまへのメッセージをお願いします。
株主、投資家の皆さまの日ごろからのご高配に厚く御礼申し上げます。決算説明会や株主通信のアンケートなど、ステークホルダーの皆さまとの対話の機会において、当社への期待は、「安定性」と「成長戦略」という一見相反する項目が高い傾向にあります。今回の長期ビジョンを丸運グループ全員で共有し、その実現に向け真摯に取り組むことが、皆様の期待にお応えする道と考えております。引き続き、ご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。